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2020年03月02日相続登記

未成年の相続人がいる場合の遺産分割協議と相続登記【解決事例】

山を相続したときに知っておきたい相続手続き

・はじめに

本記事では、相続人の中に未成年の子供がいて、扶養する親が遺産の全てを相続したい場合の遺産分割協議と相続登記について、私が体験した事例を基に、解説します。

 

 

未成年の相続人がいる場合の遺産分割協議について

未成年者は、財産に関する法律行為を単独で行うことができません。

よって、通常は、法定代理人(親権を持つ親など)が代理したり、未成年者の行為に同意したりします。

しかし、その親自身も相続人として遺産分割協議に参加する場合は、親と未成年の子供との利害がぶつかるので、親は子供を代理できなくなります。

これは、遺産分割協議の内容が「法定相続分で遺産分割する」場合でも同様です。できません。

協議の内容ではなく、利害がぶつかる立場で協議したという外見自体が問題とされるからです。

そこで、その親に代わる未成年の子供のための法的な代理人、『特別代理人』が必要となります。

 

 

特別代理人の付け方について

では、どうやって特別代理人をつけるかですが、家庭裁判所に特別代理人を選任してもらいます

申し立てができる人は、親、未成年後見人、利害関係のある第三者で、

未成年の相続人の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てをします。

また、特別代理人に選んでほしい候補者は、申立人が推薦することができます。

ただ、実際にその候補者が選任されるかは、裁判所の判断となります。

その際、重視されるのが未成年の相続人と利害関係が無いかという点になりますので、利害関係が無い人を候補者に選びましょう。

 

 

特別代理人を付けた結果は

今回のケースでは、相続登記のご依頼に加えて、特別代理人選任の申立て書類の作成も弊所で担当しました。

司法書士は、登記だけではなく、裁判所に提出する書類の作成も業務としてできます

故人の血縁者の方のご協力をいただけたので、その方を候補者として推薦し、未成年者の特別代理人として裁判所に選任されました。

そして、依頼人である配偶者の方のご希望のとおり、

「自宅の不動産の所有権、住宅ローンも含めて全ての遺産を自身が相続する」

内容で遺産分割協議を済ませ、配偶者の方が単独相続する相続登記を完了させることができました。

 

 

弊所のサービス内容

今回のケースで、弊所が提供した主なサービスは次のことです。

・手続きに必要な戸籍の収集の代理

・特別代理人選任の申立てに関する書類の作成と裁判所への提出代行

・特別代理人選任の手続きに関する関係者への説明

・遺産分割協議書の作成と押印の出張代行

・相続登記の申請代理

 

 

法定相続分を確保しなくてもいいのか?

手続きを進めるにあたり、次の懸念事項がありました。

「未成年者の法定相続分が確保されない遺産分割協議が裁判所に認められるのか?」

以下は、あくまで今回のケースに基づく私の個人的な経験と見解としてご理解ください。

その他のケースでの結果を保証するものではありません。

 

実は、私は、このケースで初めて特別代理人選任の申立て手続きに関与しました。

成年被後見人が相続人となる遺産分割協議のときと同様に、

法定相続分が確保される協議内容でなければ、裁判所に認められないのではないか?

という疑問がありました。

また、実務書や、他の弁護士や司法書士の複数のWEB上の記事を確認したところ、

「未成年の相続人の法定相続分を確保しない遺産分割協議案は裁判所に認められない」

という論調が目立ちました。

しかし、結果は認められました。

 

また、裁判所が発行する選任審判書と遺産分割協議書(案)は、合綴(1冊にとじ合わせること)しての契印がされていませんでした。

事前の調査から、合綴して契印されるものと思っていたので、裁判所に確認したところ、

「大阪家庭裁判所では合綴しないし、もし、遺産分割協議の内容が変更されても、裁判所の許可は不要」

との回答でした。

遺産分割協議自体の内容よりも、

・特別代理人候補者の適格性

・候補者と未成年の相続人との利害関係の有無

を裁判所は重視しているという印象を受けました。

 

 

最後に

『未成年の相続人がいる場合の遺産分割協議と相続登記【解決事例】』いかがでしたか?

今回のケースは、あくまで一例とご理解ください。

事案によっては、希望する内容で手続きできない恐れがあります。

できる限り、弁護士や司法書士といった専門家のアドバイスを受けられた方がよいでしょう。

弊所では、相続登記だけでなく、裁判所の手続きについてもサポート致しますので、お気軽にご相談いただければと思います。

この記事が何かの参考になったのならば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。

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執筆者:司法書士・行政書士 木戸瑛治

 

 

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