2020年06月15日お役立ち情報
【解決事例】コロナに負けず遺産分割協議書を全員分素早く集める方法
※本記事は、実際の事件の内容を一部変更したり、複数の事件を再構成しています。
事例の概要
数年前に亡くなった配偶者A名義の不動産を、依頼者Bさんが引っ越しを機に会社Cに売却することにした。
相続登記をずっとしていなかったので、その相続登記に必要な手続き一式をお願いしたいというご依頼でした。
①相続による所有権移転登記 A→B
②売買による所有権移転登記 B→C
なお、今回のようなケース(相続発生後に売買)の場合、相続登記を省略して売却することはできません。
今回の注意点は
不動産仲介業者の方からは、すでに買い手さんが見つかっているので、できるだけ早く相続登記を完了させてほしいとの希望がありました。
ちょうど新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言が発令されていた時期のため、登記所の処理が遅延していました。
申請の審査に時間が掛かるため、申請書類を揃える時間は少しでも短縮しないといけません。
しかしながら、当初の予定では、可能な限り相続人の方に一堂に集まっていただき、一気に遺産分割協議書の署名と押印を済ませるつもりだったのですが、感染対策のため、人が集まる方法は避けざるを得ませんでした。
早く遺産分割協議書を完成させて、早く登記を申請し、これを完了させなくてはいけない。
しかし、人が集まる方法は避けないといけない。
これを両立させる必要があるわけです。
遺産分割協議書分冊形式
まず、相続人の方々との対面でのやり取りを避けるため、郵送で書類をやり取りすることとしました。
ただ、一通の遺産分割協議書に相続人全員が順番に署名押印するやり方だと時間が掛かってしまいます。
私から書類を送って、署名押印されたものが返ってくるのに、仮に一週間かかるとすると、
今回、法定相続人が四人いらっしゃったので、約一ヶ月かかることになります。
そこで、署名押印欄が一人分で、内容が同じ遺産分割協議書を相続人の人数分の通数を用意し、
それを全員に対して一斉に郵送、
各自が自分の分の署名押印をし、それを私に返送してもらう。
四通、四人全員分が揃えば、遺産分割協議書は完全なものになります。
いわば、分冊形式です。
相続人の方の対応スピード次第では、一週間もあれば全員分の遺産分割協議書が集まりますので、
大幅な時間短縮が可能になります。
今まで、分冊形式の遺産分割協議書を提出して、法務局の登記所・銀行・証券会社などで手続きを拒否されたことはありません。
法定相続人全員分の署名と実印の押印が揃っていれば問題ないということでしょう。
その後
相続人の皆様のご協力により、一週間程度で全員分の遺産分割協議書は揃ったので、迅速に相続登記を申請することができました。
また、緊急事態宣言発令下にも関わらず、当初の予定日よりも早く登記を完了させることができました。
登記所から修正・訂正を求められると、その分完了も遅くなってしまうのですが、
修正・訂正を求められることが無い正しくて審査がしやすい書類を最初から提出できれば、
登記所が発表している予定日よりも早く登記を完了させることも可能です。
このあたりは、専門家である司法書士にご依頼いただく場合の一つのメリットです。
その後、売買に関する登記についても、相続人の売主様側の手続きを担当させていただき、
後日の売買代金の授受と不動産の引き渡しをスムーズに完了させることができました。
ご依頼の流れ
① ご相談、見積もり提示
② 委任契約
③ 戸籍を収集して相続関係調査
④ 不動産の登記記録、地図情報を取得して相続不動産の調査・特定
⑤ 遺産分割協議書、相続関係説明図などの書類作成
⑥ 遺産分割協議書、登記委任状等の書類に署名押印
⑦ 必要書類が全て揃う
⑧ 登記申請
⑨ 登記完了
⑩ 不動産売買契約 ※契約は相続登記完了前でも可
⑪ 残代金決済・引き渡し
自分だけで相続登記の手続きができるか不安な方は、木戸司法書士・行政書士事務所にご相談ください!
執筆者
司法書士・行政書士 木戸 英治