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2023年12月04日相続登記

山を相続したときに知っておきたい相続手続き

山を相続したときに知っておきたい相続手続き

はじめに

山を相続したとき、相続登記をしただけで終わらせていませんか?

実は、山(森林)を相続した場合は、その山がある自治体に届け出をする必要があります。

今回は、山を相続したときに必要な相続手続きについて解説します。

 

 

手続きの概要

根拠法令

森林法の改正により、平成24年4月以降に森林の土地の所有者となった者は自治体への届出が必要になりました。

森林法 第十条の七の二

地域森林計画の対象となつている民有林について、新たに当該森林の土地の所有者となつた者は、農林水産省令で定める手続に従い、市町村の長にその旨を届け出なければならない。ただし、国土利用計画法(昭和四十九年法律第九十二号)第二十三条第一項の規定による届出をしたときは、この限りでない。

 

届出の対象となる土地

届出の対象となるのは、都道府県が策定している地域森林計画の対象となっている森林です。

登記上の地目が「山林」となっていて、実際の土地が森林の状態になっている場合は、届出の対象となっている可能性が高いと考えられます。

対象に該当するかの判断が難しい場合は、その土地がある自治体の担当部署にお問い合わせください。

ちなみに、森林法上の「森林」の定義を要約すると、木や竹が集団で生え育っている土地を指します。

 

届出をすべき人

届出対象の森林を取得した場合は、原則、誰でも届出をする必要があります

個人・法人、事業者・一般人、面積の多少、取得の方法(相続、売買、贈与など)は 問いません

なお、国土利用計画法に基づく土地売買契約の届出を提出している場合は届出の対象外となっています。

 

届出期間

土地の所有者となった日から90日以内に、土地がある自治体に届出をする必要があります。

 

 

提出する書類

所有者が変更となったことの届出には、次の三種類の書類が必要です。

① 届出書

届出書には、次の情報を記載します。

・届出者と前の所有者の住所と氏名

・所有者となった年月日

・所有権移転の原因(売買、相続など)

・土地の所在場所と面積

・土地の用途等

私は、いくつかの自治体に届け出をした経験がありますが、各自治体で独自の様式を準備しているわけではないようです。

下記外部リンクの林野庁のHPの書式をダウンロードして、印刷して使えば良いかと思います。

 

(届出書の記入例)

森林の土地の所有者届出書の参考例

① 届出をする日付を記入します。

② 届出をする市町村名を記入します。

③ 届出をする人の情報を記入します。

④ 前の所有者(故人)の住所と氏名を記入します。

相続開始日(故人の亡くなった日)か、遺産分割協議の成立日を記入します。自治体によって回答が異なるため、担当部署に確認された方が良いかと思います。

⑥ 「相続」と記入します。

⑦ 届出をする土地の情報を記入します。不動産の謄本の記載を確認して記入してください。また、面積はヘクタール(ha)に換算して記入してください。ちなみに、1ヘクタールは1万㎡です。

⑧ 備考欄には、所有する目的と境界などについて記入します。

 

② 登記事項証明書(コピー可)

相続登記を終えた後に届出の手続きをするなら、登記完了後の不動産の謄本をコピーして提出すれば大丈夫です。

もし、所有権移転の登記をしない場合は、遺産分割協議書などの権利を取得したことが分かる書類(コピー可)の提出が必要となります。

 

③ 土地の位置を示す図面

私はいつも登記情報提供サービスの地図情報を印刷したものを提出しています。

地図情報とは、請求した土地を中心とした周囲の土地の情報(大まかな形状や位置関係)が記載された図面です。

法務局の証明書コーナーで同様の証明書を取得できますので、一般の方は、そちらで取得されるのが良いかと思います。

(地図情報のイメージ)

地図情報のイメージ

 

 

届出の期間を過ぎた場合は

所有者変更の届出は、所有者となった日から90日以内にする必要があります。

森林法の規定(第213条)上は、届出をしなかった場合は、「10万円以下の過料に処する」と定められています。

私のこれまでの経験上、届出が必要なこと自体を認識されていた方はいませんでした。

 

初めて手続きを担当することになったときのことです。

ある自治体の担当者の方から、「遅れた事情がある場合は、備考欄に記載してほしい」との指導を受けました。

記入例の⑧備考欄にも、届出が遅れた事情を記載しております。

「届出が必要なことを知らなかったので。」と正直に記載したこともあります。

 

幸い、私が関与した件で、過料になったとの話は今のところ聞いておりません。

しかし、取得を繰り返し、森林法の届出義務を承知しているはずの事業者の場合は、過料が課せられたとの話も聞きます。

非事業者の場合は、よほど悪質でなければ過料は課せられないのかもしれませんが、法律で定められている以上、できるだけ早期に届出を済ませるべきでしょう。

 

 

山の相続はこの順番で進めるのがオススメ

① 相続登記を申請

② 登記完了後、登記事項証明書(不動産の謄本)を取得して、完了のチェック

③ 自治体に森林の所有者が変更したことを届け出

 

 

最後に

『山を相続したときに知っておきたい相続手続き』いかがでしたか?

森林の土地の所有者届出の手続きについて、説明させていただきました。

この記事が何かの参考になったのならば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。

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執筆者:司法書士・行政書士 木戸瑛治

 

 

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